prose-滴る

2014年6月12日 エッセイ
 五月雨、梅雨を詠んだ句はたくさんあって、四季とともに生活する日本人に永来染みついた感覚から滲み、絞りだされ、発露したものだ。
 さて、句のひとつもと思いつき、ひねりにひねってみたが所詮とぼしい語彙からはなにもうかばなかった。

 霧雨の空をあおいでいると俄か黒雲がながれて軒をたたくほどの勢いに化け、軒下につたう雨滴が洪水のように逸り、樋のないところは麺の日干しになる。ゴロゴロ遠雷も耳うち、やがて薄日が射して仮面を脱いだ生き物のよう、今日は霹靂の日である。窓明かりで読んでいた本をうっちゃっていたが取りなおして創作の世界に耽ける。

 ときもおり、梅摘みの連絡をいただき、腔中に涌く新鮮な酸味をあじわった。
 

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